ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2012年10月5日金曜日

CNLの夜行列車でベルリン-パリを往復(1)

 夜行列車を「夜汽車」と呼ぶのは、大分古いか。日本では夜行列車自体が少なくなってきているし、列車を「汽車」と呼ぶことも大分古めかしいので「夜汽車」なんて言うといつの時代のことかって響きもあるが、その響きにはノスタルジーが感じられ、旅情がある。
 2012年9月末にベルリンとパリを、その夜汽車で往復した。列車はCNL 450/451列車。列車名にはPerseusという愛称がついている。
 列車は、寝台車(Schlafwagen)と簡易寝台(Liegewagen)、それに二等座席車の三種類の客車で編成されている。一部は自転車を載せるカーゴスペースにもなっている。以前は食堂車も連結されていたが、今はそのサービスはない。残念だがこれも時代の波か。但し軽食と飲み物は、寝台車(Schlafwagen)まで行くとその給仕から求めることができる。

 9月27日、私の出発はベルリン中央駅ではなく、その一つ手前の南十字駅(Südkreuz)から。発車は19時56分。その日の夕食用と次の朝食用にサンドイッチを持参。中身はスモークサーモンとチーズ、それにジャムといった簡単なもの。それに小瓶のワインを用意した。
 予約は簡易寝台なので、シャワーはないから家で湯を浴びてから出発。十分な時間をみて部屋を出たのだが、街角の時計をみると腕時計よりも10分進んでいる。どうも腕時計の電池が切れかかっていたらしい。最寄りのSバーンICC Nord駅まで荷物を引っ張って足を速める。余裕はなくなってしまったが、何とか時間に間に合った。Sバーンの電車で南十字駅に向かう。

ベルリン南十字駅で発車を待つCNL 450列車

 南十字駅Südkreuzは、「ズュードクロイツ」と発音するが、ベルリンの環状線と南北線の交点。それで十字という。英語ならサウス・クロスとなるのだろうか。西へ向かう長距離列車でベルリン中央駅の地下ホームを使う列車は、この駅を出るとその中央駅を通り、ベルリンでは最後の停車になるシュパンダウ駅を経て西へ向かう。シュパンダウからの本線は、ICEが高速運転をする新幹線。この列車を含めICやECといった急行列車もかなりの速度で走る。

 長距離列車のホームに下りると既にCNL 450列車は発車を待っていた。何とか間に合った。ホームには別れを惜しむ恋人同士が抱き合っていたり、窓を開けて別れを惜しむ旅客がいたりで旅情をかき立てる。

 私は、見送りもいない一人旅。切符(といっても自宅でプリントアウトしたA4の味気ないもの)で車両と、座席ならぬ寝台を確認。97号車45席。4人部屋の上段の寝台が私に割り当てられた場所。簡易寝台には4人部屋と6人部屋があり、前者は二段の寝台で後者は三段の寝台。6月にベルリンからスウェーデンのマルメーまでに使った簡易寝台が三段の蚕棚だったが、その狭さに閉口したので今回は4人部屋の二段寝台にしたというわけ。二段ベッドなら寝台に座って着替えもできると踏んだのだが・・。

4人用の車室、中段の別途が高い位置で固定されているだけで、6人用の車室と変わらない。

 車室に入って唖然としてしまった。4人部屋といっても寝台は6つ。6人部屋との違いは中段をやや上に固定して寝台としては使わないと言うだけ。上段は、6人部屋と全く同じ。私のベッドは上段なのでこれでは何のために4人部屋をとったのかわからない。本来なら、やや上に固定したその中段のベッドを上段のベッドとして使い、最上段のベッドは壁側に倒して固定し、上段も広く使えるはずなのだが、その仕掛けは放棄してしまったようだ。乗務員の手間を省くためなのか、それとも車両の老朽化でその仕掛けの故障が多くなり、いよいよ放棄してしまったのか。いずれにしても、私の今回の旅もそう楽なものではなさそうだ。

車室の廊下側には荷物置き場が設けられている。その他、荷物は下段のベッドの下と中段のベッドに置ける。

上段と、高い位置で固定された中段のベッド。

 列車は、定刻に南十字駅を発車し、ポツダム広場駅を無停車で通過。ベルリン中央駅に滑り込み、多くの乗客が乗り込んで来た。南十字駅を出発したときには私一人だった車室に中年男性二人が入ってくる。グーテン・アーベント! 一人は背の高い男性で、もう一人は両手に塗料のバケツを持った小太りの男性。4人部屋は6人部屋よりも少し料金が高いためか、6人部屋よりもやや年齢層が高そうだ。これで4席のうち3席が埋まった。下のベッドを使う小太りの男性は、下段を一人で使えることを喜んでいた。(つづく)

車室から見たベルリン中央駅のホーム

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