ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2013年7月13日土曜日

66湖巡り(1)ポツダム遊覧

 ベルリンからポツダムまで欧州長距離遊歩道E11を通って歩いてみたが、このコースだけでなく、さまざまな遊歩道が並列して設定されていることがわかった。日本での徒歩旅行、遊歩道をたどる旅は経験がないが、ベルリンの周辺では徒歩旅行(Wanderung)が身近でポピュラーな娯楽であると感じられる。
 興味を持つと今まで見えなかったものが見えてくる。ベルリンの周りにある遊歩道で、私の関心が向いたのは、66-Seen-Wanderweg。「66湖巡り遊歩道」とでも呼ぼうか。この道がベルリンの周囲をぐるっと66の湖を結んでいるようだ。距離は400 km以上に及んでいる。四国のお遍路は、88箇所の霊場を巡り、四国をぐるっと一周する。66の湖を結んでベルリンの周囲をぐるっと一回りするこのコースは、四国遍路のようで面白い。これをたどってみたくなった。

 スタートしたのは7月7日。コースガイドによると最初のステップはPotsdam(ポツダム)とMarquardt(マルクヴァルト)との間の約20 kmで設定されているが、私の設定した第1ステップは、その内の8 km。但しポツダム中央駅から66湖巡りがスタートするポツダムのブランデンブルク門までも歩くので全体では10 kmほどになるはず。

 14時20分、ポツダム中央駅を出発。この日はよく晴れて気温24℃ほど。日差しが強く暑いほど。14時45分、ブランデンブルク門に到着。ここまで2254歩。ポツダムの街中を歩いたのは数年ぶりだが、すっかり観光地になっていた。ブランデンブルク門から市中心部へと続くブランデンブルガーシュトラーセ(通り)は歩行者ゾーンになっていて土産物を売る店などが並び、有名な観光地のメインストリートそのもの。

建設が進むポツダム市内宮殿


 14時45分、万歩計の数字を0に戻して66湖巡りスタート。門から北へ少し歩きオベリスクが見えたら、サンスーシ公園へ入る。西へ真っ直ぐに続く道は新宮殿まで続いているが、5分も歩かないうちにこの公園で最も有名なサンスーシ宮殿下に着く。そこからテラスを登り、建物へ近づく。ウィーンやヴェルサイユのような壮麗さはないが、こじんまりとして哲学者の夏の別荘にはぴったりの作り。

ポツダムのブランデンブルク門
有名なサンスーシ宮殿


 宮殿の黄色い壁を見ながら裏へと回る。大きな風車の横を過ぎ、駐車場を回ってBornstedterstrasse(ボルンシュテターシュトラーセ)(通り)へ出たら北へ向かう。左手に最初の湖、Bornstedter See(ボルンシュテター・ゼー)(湖)が見えてくる。カラフルな花畑もある。しばらく進んで右へ曲がり、Ruinenberg(ルイーネンベルク)(山)を目指す。
 この山は、サンスーシ宮殿の裏山だが、宮殿前の噴水のための水槽が設置されている。ルイーネンベルクとは廃墟山の意味だが、わざと廃墟風に作られたもの。18世紀の流行とフリードリヒ大王の好みによるのだろう。但し噴水施設のための水槽は、当時の技術では満足な機能は果たせなかったようだ。

ルイーネンベルクの水槽

 道を迷いながらも山からでてVoltaireweg(ヴォルテールベーク)(道)へ。真っ直ぐ進むと交差点にさしかかり、それを渡るとロシア人コロニーがある。ここはかつてロシアから贈られた軍合唱団の人々が住んだ界隈。ロシア風のログハウスが建ち、ロシア村の様相。

ロシア風のログハウス


 コロニーを過ぎ、Neuer Garten(ノイアー・ガルテン)公園の入口へ。16時25分に到着。公園内を北へ進む。右手に見える湖はHeiliger See(ハイリガー・ゼー)(湖)。水着で日光浴を楽しむ人たちも多い。少し進むとMarmorpalais(マルモアーパレー)、つまり大理石宮殿が見える。さらに進むとSchloss Cecilienhof(ツェツィリエンホーフ城)が見える。この公園で最も有名な建物で、ポツダム会談が開かれたと場所としても有名。何度か見学したが、今回はただ通り過ぎる。

ツェツィリエンホーフ


 コースをたどり少し進むと初めて見る風変わりな建物。壁は木肌で屋根は茅葺き?、てっぺんからは木の幹が出ている。説明書きを見ると再建されたものらしいが、その名もBorkenküche(ボルケンクッヒェ)。木肌の厨房? どうも、近くにあるという貝殻洞窟のための供食施設として建てられたものらしい。時は18世紀末。

風変わりなボルケンクッヒェ
(復元)


 で、その貝殻洞窟というのはどこかと辺りを探す。やや離れたJungfernsee(ユングフェルンゼー)(湖)の畔にその「洞窟」はあった。洞窟と言っても人工的に作ったもので、作らせたのはフリードリヒ・ヴィルヘルム2世。有名な大王、フリードリヒ2世の後継者であったプロイセン王。治世が短かったせいもあるが、フランス革命が発生した政治的、外交的に難しい時代にあって、芳しい評価を欠く君主。その王が、このおかしな建物で何をしていたのだろうか。説明書きを読んでも謎は解けない。
 フリードリヒ大王とこのフリードリヒ・ヴィルヘルム2世、評判も好みも好対照。

おかしな建造物、貝殻洞窟

 コースへ戻るがビアガーデンにつかまる。17時10分、Meiereiに到着。ここはビール醸造所になっており、地ビールが飲める。30分ほど休憩。

Meierei特製ビール。こちらはHell。Dunkelもある。
回頭する蒸気船。Meiereiへは船で来ることも。


 17時45分に再出発。Pfingstberg(プフィングストベルク)(山)を目指す。山と言ってもたいしたことはないが、Belvedere(ベルベデーレ)、つまり展望台がある。18時に到着。4ユーロを払って登ってみる。期待していなかったが、すばらしい眺め。ハーフェル川、遠くベルリン市街も望める。

ベルベデーレの最も高い場所から


 山を下りAm Schragenというバス停へ。18時30分着。約13000歩。

 18時34分発予定のバスが5分ほど遅れて到着。乗ってポツダム中央駅へ。Sバーンでベルリンに帰還。

 観光地の散歩という感じの一日だが、それもまた楽し。



   距離:8 km
   時間:3時間45分(休憩等を含む)
   歩数:約13000歩

白地に水色の丸がこのコースの道しるべ

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