病気ならずに、次に覚えたのはまぁまぁまともな自炊と外食、といっても貧乏学生だった私の外食は中華料理とインド料理。そこでなら日本とはいかないまでも、アジアへの郷愁も満足させることができた。中華料理の醤油の味、インド料理の香辛料の香りが食欲をそそった。この二つの料理、料理店には感謝してもしきれない。
しかし劇的に変わったのは結婚してからだろうか。といってもドイツ人と結婚してドイツ食オンリーになったのではない。妻は日本人なので劇的に変わったというのは、口の中がいつも里帰りしている状態になったということだ。女房は、料理が趣味でどこからともなく日本食の食材を探してきては日本の家庭料理を作ってくれる。中華料理とインド料理以上に女房には感謝しているのだが、困ったのは彼女が年の半分を日本で暮らすようになったことだ。
何が困ったって、私の口の中だけを女房と一緒に里帰りさせることができないということ。しかも女房に食わせてもらっていたために、いつの間にか舌がわがままになり、私がいくら中華やインド料理で我慢しろと言っても言うことを聞かない。仕方なく私も女房に倣ってベルリン式日本料理に挑戦することになった。
やってみるとこれがなかなか楽しい。女房も教えてくれるし、インターネットはレシピやら料理動画でいっぱいだ。女房が日本から買ってきてくれた包丁のおかげで魚もわりと上手に捌けるようになり、彼女から免許皆伝を許され、今では彼女がベルリンにいる間も魚を捌くのは私の仕事になった。いつの間にか料理助手に育てられてしまったのだが・・、それもよしとしよう。望むところだ。
そう、日本食といえば魚が欠かせないのだ。そしてこれを調達するのも「スリリング」で楽しい。魚、どこで買う? ドイツのスーパーにだって置いてあるが、鮮度が今ひとつ。刺身で食べるのは、ちょっと、いやかなり怖い。じゃぁ高級デパートのKaDeWeやRogackiといった高級食材店? それなら大丈夫、しかし胃袋が満たされる前に家計が破綻するだろう。
そこで見つけたのがトルコ人週市に出ている魚スタンド。ここでならわりとリーズナブルな値段で新鮮な魚を調達できる。私がよく行くのは、U7 Kleistpark駅またはU7 Yorckstrasse駅に近いCrellestraßeに土曜日に立つ市場。そこには二軒魚屋スタンドが出るが、私が行くのはFlying Fischというお店。市場だけではなく固定店舗もTurmstraßeにあるのだが、そちらへはまだ行ったことがない。
このお店、安さにもまして鮮度と種類が豊富なのがいい。定番の魚以外にときどき変わった魚が入っていて、冷凍庫にはまだたっぷり魚が凍っているときでものぞいてしまう。冷やかしのつもりがついつい買ってしまって・・。
ここで買うと、頼めば鱗と内臓を取ってくれるのだが、私が注文するとそのまま、はいよと渡されてしまう。以前、一度、和包丁で料理をするのが趣味だからそのままでいいよと言ったのを覚えられてしまって今に至るのだ。それほど量は買えないが、手間の省けるいいお客さんではないかと勝手に思っている。
次の土曜日にはどんな魚が入っているかと考えると楽しみだ。
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