ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2014年4月3日木曜日

ベルリンのモダンを求めて(ヴェディング)

 今年のベルリン映画祭に出品された『小さいおうち』。たき役の黒木華が銀熊賞を受賞した。映画、原作で描かれている話の背景は「昭和モダン」の世界。そして「小さいおうち」。大正から昭和にかけ、外観に西洋建築風の意匠を取り入れ、内装を和洋折衷とした邸宅が建てられた。昭和のモダン住宅。集合住宅では同潤会アパートがちょうどその頃。
 そんな1920年代は、ドイツではワイマール時代に相当し、第一次世界大戦で負けたとは言え(負けたからこそ?)、モダン文化が花開いた時代。ベルリンでは「賃貸兵舎(Mietskaserne)」と呼ばれた低質集合住宅の問題を解消すべく、市街地の周辺部に近代的な団地が建設されていく時代。ベルリンのモダン団地として世界遺産に登録されている集合住宅群は、そんな時代の所産。

 暖かくなった3月末の日曜日、そんな団地の一つがあるヴェディング地区へと散歩に出かけた。ベルリン・ツォー駅(Zoologischer Garten)を通る地下鉄9号線でアムルマーシュトラーセ駅(U9 Amrumer Str.)まで行きそこからは歩き。
 最初のお目当ては、世界遺産には登録されていないが、集合住宅の外観で一つの画期となったミース・ファン・デア・ローエ設計の社会住宅。場所は、Afrikanische Strasse 15-41。








 装飾を一切排したそのファサードは、まさにNeue Sachlichkeit! 当時の人の目にはどう映ったのだろうか。「モダン」として映ったのだろうか。それとも味気なさを感じつつも渋々入居したのだろうか。
 この建物も、世界遺産に匹敵すると思われるのだが、そのリストには登録はされていない。市の史跡にはなっているのみ。

 Afrikanische Strasse(アフリカ通り)を後に北東へ向かいSchiller Park(シラー公園)を過ぎると世界遺産に登録されているブルーノ・タウト設計の団地にたどり着く。タウト設計の団地と言えばブリッツの馬蹄形の建物を中心とする団地が有名だが、今日訪れたのはそれとは別。赤煉瓦を使ってオランダ風に仕上げた「オランダ派」の建築がこれ。
 一部は戦争で被災したが、弟のマックス・タウトの手で復元されている。最初の写真が、マックスの手によって復元されたものらしい。











 中庭を囲んでロの字形に建てられたそれまでの典型的都市集合住宅と違って開放的に建てられた「新建築」。この団地はシラー公園に面しており、散歩や気晴らしの場所にも事欠かない。
 古い建築にもそれなりのよさがあるが、光と空気を求めるとこういう建て方が合理的になるのだろう。

 1時間あまりの散歩を終え、BristolstrasseとBarfsstrasseの角にあるバス停から120系統のバスで中央駅へと向かい家路へと就いた。

 ベルリンのモダン、また探索してみたい。

 歩いた経路は、下の地図の通り。

2 件のコメント:

  1. Berlinerさんへ
    1月にブラウンシュウ゛ィクについて質問させていただいた者です。3月にドイツに行ってきました。Berlinerさんのアドバイスのおかげで楽しい旅をすることができました。念願のフェルメールに逢うことができました。ありがとうございました。またブログを通してドイツのことをいろいろ教えていただければと思います。更新を楽しみにしています。

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    1. コメント有り難うございます。お役に立てて幸いです。ブログ続けることにしましたよ。

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