ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2014年4月13日日曜日

ベルリン・シャルロッテンブルクの地霊

 前回の投稿で「ベルリンのモダン」を求めてヴェディング地区に行ったことを報告した。メインは世界遺産にもなっているタウト設計事務所によるシラーパーク脇の集合住宅だが、アフリカーニッシェ・シュトラーセにあるミース・ファン・デア・ローエ設計の社会住宅も見た。あの地域には、そういった戦前の「新建築」が多く、それらが「史跡」、ドイツ語で言うDenkmal(デンクマール)に指定されているのがわかった。
 それらより古い建物は他にもあるが、ヴェディング地域は1930年前後に建てられた新建築が界隈の雰囲気を決定している。そしてそれらは、世界遺産に登録される前から「史跡」に指定され保護されている。東京に置き換えれば、同潤会アパートは皆史跡に指定され、取り壊しはできないようになっているようなものか。こういうところは、建造物に対するドイツ人と日本人の考え方の違いなのかもしれない。

 そのような「史跡」は、ベルリン中に数多く残っている。ヴェディングまで足を伸ばさずとも、私の住むシャルロッテンブルク地区にも至る所に史跡に指定された建造物がある。
 近所にゾフィー-シャルロッテン-シュトラーセという通りがあるが、この通りを例に、どれだけ多くの建物が「史跡」の指定を受けているかを調べ、それらを一つ一つ訪ねてみた。

 以下の写真が、ベルリンの史跡リストに登録されている、ゾフィー-シャルロッテン-シュトラーセ(通り)の史跡建造物である。

88番地 ハインリッヒ・ツィレのアトリエがあった建物
89番地 88番地の建物と同じ設計者








113番地

114番地

115番地 かつて路上生活者シェルターだった建物

1-4番地 旧シャルロッテンブルク貨物駅の門

17/18番地 石膏型博物館

 史跡に登録されているのは、1-4、17/18、23a、88、89、96、98、99、100、101、113、114、115番地の13件。この界隈は19世紀末から20世紀初頭に開発された地区だが、一つの通りにこれだけ史跡が残っている、史跡に登録され保護された建物があるというのは驚きだ。そしてさらに驚くのは、この通りが例外的に史跡の多い通りではないということ。並行する隣りの通りにも、垂直に交わる通りにも同じくらいの割合で史跡に指定された建物が残っている。そういう建物には、この地域の雰囲気を決定する地霊(ゲニウス・ロキ)が宿っているようだ。史跡に指定されていない建物が後から建てられたり、改修され模様替えをするときも周囲の雰囲気と合わせてデザインされることが多いので自然と地域の雰囲気というのができあがり、それが継続する。こうして地霊は、継続的に養われていく。

 街歩きはそんな地霊との対話か。また各地の地霊を訪ねてみたい。

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