ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2013年7月6日土曜日

徒歩旅行 E11 ベルリン - ポツダム(3)

 6月30日、天候もなんとか雨にならずに済むだろうとわかり、曇り空の中三週連続の徒歩旅行に出かけた。気温は18度とやや肌寒い。薄いセーターを持って出る。
 今日の出発地点は先週の終点Nikolassee(ニコラスゼー)駅。ホームを通って出口を出ると駅前は広い広場になっていて静かな住宅街が広がっている。お屋敷街と呼ぶのがふさわしい街並。東京でいえば「かつて」の田園調布や成城学園前といったところか。
 13時50分、15 km先のポツダム中央駅を目指し出発。駅前の道を5分も歩くともう緑が広がっている。住宅街の間の緑地帯なのだが、広々として自然を感じられる。こういったところが数多くあるのがドイツの、いやベルリンの良さだろう。

Sニコラスゼー駅
住宅街の中の緑地帯

 高速道路の下を潜り、ニコラスゼー湖の脇を過ぎると再び住宅街の通りに出る。そのDreilindenstraße(ドライリンデンシュトラーセ)(通り)は道の半分が石畳の舗装で、あとの半分は芝生の駐車スペースになっている。かつての舗装道路Chausseeを彷彿とさせる。この通りには学校や養護施設などが多いが、その建物を見ながら進むとまた緑地になり、連邦道(国道)1号線を渡るともう連続した森が広がっている。

連邦道1号線(ヴァンゼー駅近く)

 しばらくはこの森の中の道を歩く。サイクリングやジョギングを楽しむ人も多い。森の中を複数の遊歩道、サイクリングロードが通っていて、所々に分かれ道がある。二股に分かれ、どちらに行けばいいのか迷うようなところでは、少し見回すとE11という道しるべがある。
 森の中を歩き、歩数が6500歩に近づいた頃、どこからか清々しい香りがしてきた。さっきすれ違った人がつけていた香水? いや違う、そういう人工的なものではない、と思いながら少し歩くと枝打ちしたばかりの林にさしかかる。松だろうか。香りの源はこれか。森は自然保護区にもなっているが自然そのままというわけではない。人の手が入って管理されている場所も多いのだ。

枝打ちされたばかりの林と休憩所。井戸もある。

 7000歩過ぎで右折。鉄道線路を潜りしばらく進むと舗装道路が見えてくる。7750歩地点。Griebnitzkanal(グリープニッツカナール)(運河)にかかる橋Hubertusbrücke(フベルトゥスブリュッケ)(橋)を渡るとレストラン/カフェ/ホテルがある。ここで今日の道のりの約半分。一休みしたいところだが、今回はこれまでで最長の15 kmを歩くつもりなので先を急ぐ。

一休みしたいところだが。

 レストラン入口前から再び森の中に入るが、Griebnitzsee(グリープニッツゼー)(湖)に沿って歩く。道しるべがあるとは言え森のまっただ中を横断/縦断するよりは、川や湖沿って進むのは、迷う心配がなくずっと快適。どちらかと言えば水辺の風景が好きだ。
 この湖沿いのコースでは期待していたものがある。それは、ポツダム会談のときに米英ソの代表が宿泊した邸宅を湖の対岸に見つけること。果たして上手く見つかるか。
 森をひたすら歩いて道が南西から北西に向きを変える岬の先端で対岸に大きな邸宅が見えて来た。おそらく米代表の宿泊場所トルーマンヴァラだろう。さらに進むと対岸に豪邸が見える。これが英代表の宿泊場所チャーチルヴィラ? そして同じくらいの距離を進むとまた豪邸が対岸に見える。これがソ連代表宿泊場所のスターリンヴィラだろうか。全二者に比べるとやや小振りに見える。

トルーマン・ヴィラ?


チャーチル・ヴィラ?
スターリン・ヴィラ? ちょっと小振りだが。

 この通り、E11の他に「ベルリンの壁の道」にも指定されているが、分裂時代、こちらは西ベルリン、対岸は東ドイツという位置関係。
 大分長く森の中を歩んだ気がするが、12500歩近くで人里に出る。Klein-Glienicke(クライン・グリーニケ)地区。この辺りは分裂時代。西ベルリンに囲まれた東ドイツの飛び地だった場所。西ベルリンは、東ドイツに囲まれた陸の孤島だったのだから、その孤島の中の孤島と言う複雑な関係が生じた場所。東ドイツの「本土」とは橋一本で繋がっていたが、住民はそのためにひどく不自由な生活を余儀なくされたということだ。カフェ/レストランの入口に説明がある。ここで16時25分。カフェで一休みする。

やっと人里に到着

カフェ/レストランで一休み

分裂時代にこの地区が置かれた状況の説明


 かの橋を渡りPark Babelsberg(バーベルスベルク城公園)に入る。ここはもうポツダム。湖岸の道はかつては国境警備用の設備だったのだろうなどと考えながら進む。バーベルスベルク城の本丸は木立に阻まれてその道からは見えない。近づいてその姿を確かめたいところだが、足が大分辛くなってきたので諦める。Kleines Schloss(クライネス・シュロス)(小城)などお城の施設を眺めながらラストスパート。

Kleines Schloß(小城)、カフェになっている。

ポツダムの街並


 ブランデンブルク州の州都ポツダムの街並が見えてきたが、ここも緑豊かな都市。もう住宅地に入ったというのに遊歩道は川沿いの緑地帯の中を進む。そんな感じの道が中央駅まで続く。
 17時55分、18870歩でポツダム中央駅の入口に到着。休憩を含めて4時間と5分で15 kmを踏破。市街地を望むとニコライ教会前には復元されたポツダム市内城も見える。この街に最後に来たのはもう数年前だが、知らない間にできていたと言う印象。
 この後、ベルリンSバーンに乗ってベルリンへと戻る。長距離遊歩道E11に沿ってのベルリン-ポツダム徒歩旅行はこれで完。


ポツダム中央駅の入口(正面玄関ではない)


2 件のコメント:

  1. 美しい景色と文章に魅了され、貴ブログを”クルーズ”中

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    1. たぬき「どん」! コメント有り難うございます。
      私の写真はへたくそで実際の姿をちゃんと再現できているかどうかわかりませんが、ベルリンとその周辺の自然、本当に豊かできれいですね。
      先週より「66湖巡り」という徒歩旅行コースを歩き始めました。そのうち報告しますね。

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