ずっと外にいるのは寒いのでレストランの席に戻り前方を見ていると船が見えてくる。デジタルカメラを望遠にして撮り、ディスプレーを拡大してみると船の形がよくわかる。
しばらくすると港に船が停泊しているのが見えてくる。この船はSkandlinesのSkaneだろう。世界最大の鉄道フェリーだそうだ。
港が近づくと先ほどのSkaneがよく見える。この辺りで船内アナウンスが入り、自動車や列車の乗客は自分の車両に戻るようにと告げる。もう少し見ていたいところだが、列車に戻ることにする。
列車に戻るとデッキの下から水が注がれている。もしやトイレの・・、と思ったが臭くはない。さすがにそちらは船内でこぼすわけにはいかず、タンクが備えられている。流れている水は手洗いの水だけのようだ。
そして船は接岸。まずはトラックが出て行く。
入れ替え用のディーゼル機関車が迎えにきた。鉄道フェリーで運ばれるのは客車と貨車だけで機関車は、港で切り離される。
連結が済むとようやく外へ連れ出される。外に出るとまたバックして今度はプラットフォームのある駅へ。外には教会らしき建物も見える。
そして駅の名前。Trelleborg F。Fは何か? 貨物? あるいはフェリーか。ちなみにこの駅、信号停車だけで街の住人がこの駅を乗り降りに利用することはない。トレレボリは、3万人程度の街だが、鉄道は貨物が通るだけで乗客は扱っていない。近隣の大都市マルメまでは、公共の乗り物はバスしかないが、その方がずっと便利なのだろう。自動車を持たない家も少ないのかもしれない。日本の将来の光景か。
私は千葉県の出身だが、この前帰ったときにぶらっと半島の先端の館山まで行ってみた。昔行った館山は、駅には人が多く駅前もバスの出入りでにぎわっていた印象が強いが、そのときは閑散としていた。列車も昔、L特急と言ってタクト運転していたさざなみ号も今は昼の便がほとんどなくなって朝夕のみの運転になってしまった。それに代わって高速バスが東京と館山を結んでいる。運転本数は特急よりもずっと多い。モータリゼーションも行くところまで行くと鉄道は貨物だけということになるのかもしれない。日本もいつか・・。
この駅に30分ほど停車。かなり長い停車のようだが、時間調整のためにそうしているのだろう。船は海の状況しだいで遅れることもよくある。それを鉄道の定時発着性に合わせるのにこれだけの余裕を持たせているのかもしれない。運航と運行を繋ぐジョイントは30分。
入れ替え用のディーゼル機関車が切り離され、やがて本線用の電気機関車が迎えに来た。
ちょっと古めかしいごっついスウェーデンの電気機関車にはcargoの文字が。この列車は、旅客列車だがこの路線が貨物線なので扱いは貨物と同じなのだろう。
そろそろ乗車しなければならない。低い船内駅のプラットフォームやこんな駅で乗り降りするためにか、ドアのステップはドイツでよく見る客車よりも1ステップ多いようだ。
走り出せばマルメは遠くはない。