ベルリンでお気に入りの小さな船旅。ベルリンの南西に広がる湖、ヴァンゼーを横切る小散策。ベルリン・ツォー駅からポツダム方向へ向かうローカル列車かSバーンに乗ってヴァンゼー駅までいくと船着き場までは徒歩5分程度。そこからはBVGベルリン交通公社BVGの渡船が対岸のクラドーまで通っている。渡船はStern & Kreisが委託を受けて運行するMS Lichterfeldeという平べったい船。どこか懐かしいデザインが印象的。
ヴァンゼーの船着き場を出ると対岸のクラドーまでは20分程度。冬は寒さがちょっとこたえそうだが、夏にはデッキで湖上の風に吹かれるのも気持ちがいいだろう。船からは、ヨーロッパ最大の内水の遊泳場や画家マックス・リーパーマンの邸宅なども眺められる。
この船、既に書いたようにベルリン市の交通公社の路線扱いなので通常の市内交通の切符や定期でも追加料金なしで乗れる。ベルリンABゾーンの切符があれば十分だが、切符は船の中でも買える。対岸のクラドーは、ハイキングにはうってつけのカフェ、レストランが何軒かあり喉を潤すのにも好都合。特に夏は屋外でビールや冷たい飲み物も飲める。
クラドーからは、乗ってきた船でヴァンゼー駅に戻ることもできるし、丘を登ればツォー駅まで急行バス(X系統)も出ている。ダブルデッカーの二階に陣取って車に揺られて戻るのもまた一興。
いつだったろうか、この船でクラドーを訪問し、カフェでビールを呑んでいると年配のご婦人二人連れと相席になった。夏の暑い頃で他に日陰の適当な席を見つけることができず、そのお二人は私との相席を選んだということだった。お二人は年金生活でここへはよく散歩に来るとのこと。年金が少なくて夏のバカンスシーズンでも費用のかかる旅行には行けない。その代わりの散歩だと自分たちの2時間の旅行を「弁明」していたが、お金を使わなくたってベルリンにはこんな素敵な船旅がある。お二人の「弁明」もそれを異国人に誇りたかったのだと独り納得。
この豊かさ。ベルリンに住んでみないとわからないかも。
Die grünste Stadt Europas!(ヨーロッパで最も緑豊かな街)