出発地点は前回の続きでポツダム広場。ベルリンでもっとも高層化が進んだ界隈だが、せいぜいこんなもの。ベルリンはまだまだ平べったい街のままだ。
Potsdamer Platz |
ポツダム広場を後に E11 は、ラントヴェーアカナール(運河)を目指して南へと伸びる。
道はアンハルター・バンホーフ(駅)の脇を過ぎる。この駅は戦前ベルリンの主要鉄道駅の一つだったが戦災にあって今は地下を都市近郊鉄道(Sバーン)が通るのみ。瓦礫の一部が保存されて残されているというのは多くの旅行案内に書かれている通り。
Anhalter Bahnhof |
今、運河へ向かって歩いているのが、シュトレーゼマンシュトラーセ(通り)。21番地にこんなしゃれた入口を見つけた。モザイクの柄とステンドグラスが凝っている。
Stresemannstr. 21 |
さらに進み、地下鉄のハレシェストア駅近くに来るとビリー-ブラント-ハウス、つまりドイツ社会民主党のビルが見える。日本では影の薄い社会民主主義だが、ドイツでは連邦議会では野党に甘んじているものの、そのプレゼンスは健在。ベルリン州では現在も与党の座を占めている。
Willy-Brandt-Haus |
ハレシェストア駅で運河を渡る。ここからではよくわからないが、この地下鉄駅(この付近では高架鉄道の駅)は、危ういほどに運河上にはみ出している。そこまでしなくても土地は十分にあっただろうに・・。しかしここを建設した当時、設計者や施行主は、こういう建設に「未来的なもの」を感じてわざとこういう作りにしたのかもしれない。ブッパータールの空中鉄道(懸垂式モノレール)に乗ったことを思い出す。
U Station Hallesches Tor |
ここからは運河に沿って東へと向かう。運河沿いは絶好の散歩道、ジョギングコースになっている。今回は徒歩だが、遊覧船に乗って水上から運河沿いのプロムナードを眺めるのも楽しいかもしれない。
Landwehrkanal |
Promenade des Kanalufers |
運河沿いを歩き、ワーテルロー・ブリュッケ(橋)(「ウォータールー」ではないだろう)を過ぎるとアルテス・ツォルハウスという建物の前を通る。現在はレストランになっているが(ミシュランガイドにも紹介されているそうだ)、「旧税関舎」という名前からして昔は入市税を徴収した税関だったのだろうか。
Altes Zollhauf |
そしてその先に運河が少し広くなったところへ出る。ここは Urbanhafen、これも「アーバン・・」ではなく「ウルバンハーフェン」と読むべきなのだろう。つまり市港。前の税関と合わせて考えれば、ここはかつての港でベルリンの周辺から川と運河を使って運ばれた貨物が陸揚げされていたところか。
今は遊覧船が繋留されていて、レストラン船になっているものもある。もう少し暖かければこんな船の上でビールを呑むのもいいかもしれない。この運河沿い、ビアガーデンもある。夏が待ち遠しい。
Urbanhafen |
Schiffe im Hafen |
ウルバンハーフェン(港)の東側の入口になっているのがアドミラルブリュッケ(橋)。雰囲気のある橋の素材は鋳鉄だろうか。 この辺り、どことなくパリの北運河を思わせる。
Admiralbrücke |
その先のプランウーファー(河岸)通り。この辺りはクロイツベルク地区。クロイツベルクというと庶民の街という印象があるが、この運河沿いの通りにはこんな立派なファサードの住宅が軒を連ねている。
Planufer |
この運河から北東へと曲がる。豪奢な住宅を紹介したが、やはりクロイツベルクには昔ながらの庶民の街でもある。下の写真は、ミートカゼルネと呼ばれた大規模集合住宅の名残だろうか。建物が裏へと幾重にも連なっている。住宅だけでなく町工場も入居していそうな雰囲気だ。
Mietskaserne? |
しばらく行くとゲールリッツァーバンホーフ公園に至る。バーンホーフ(鉄道駅)という名前からわかる通り、かつての駅の跡地に公園ができている。下の写真には、敢えて撮らなかったが、この公園、実はかなり怪しい雰囲気。歩いていると、アフリカ系と思われる男たちが盛んに声をかけてくる。マリファナ等の売買が行われているようだ。そういうニュースは何度か聞いたことがあったが、これほどまでとは思わなかった。以前もこの公園へは立ち寄ったことがあったが、たしかに当時からちょっと怪しい雰囲気はしていたが、家族連れも多くそれほどではなかった。今回は、これは「やばい」という感じがした。危険な目には遭わなかったが、ここを通るのは用心した方がよさそうだ。
Görlitzerpark |
公園を東の端から出るとそこには廃線跡とおぼしき橋梁があった。かつては駅に出入りする列車が盛んに通過していたことだろう。
Ehemalige Eisenbahnstrecke? |
街中のトレイルは、シュレジッシェ・シュトラーセ(通り)を進む。岸沿いに歩いて来た運河がシュプレー川と接続する地点が見える。
Schleuse zur Spree |
この辺りはベルリンっぽい雰囲気。
Café? am Ufer |
そして泣く子も黙る東西ベルリン通過点の監視塔。ここから前はかつての東ベルリンということになる。
Beobachtungsturm |
最後の写真は、プーシキンアレー(並木道)。立派な街路樹が連なり、この先のトレプトワーパーク(公園)へと至る。プーシキンといえば、ロシアに限らず世界的文学者であることはたしかだが、そんな名前が見られるのは東ベルリンに入った証拠。
Puschkinallee |
今日はポツダム広場を出発したのが15時30分。そして終点のトレプトワーパーク駅に到着したのが17時30分。ハイキングガイドによれば、この区間は10 kmあまり。
今回もベルリンの街の中の緑をたどっての散策となったが、管理された自然とは言え、その豊かさには脱帽。その他にゲールリッツァーバンホーフ公園では、管理されていない人間の欲望も目の当たりにした。しばらくはその公園を舞台に管理する側と野性の戦いが繰り広げられることだろう。
最初ポツダム広場でベルリンの壁の後を越え、最後に徒歩で東西ベルリンの境を通過したのだが、通りの名前を聞いただけで東に入ったと感じられる体験はベルリンならでは。マルクス、レーニン、スターリンと言った社会/共産主義のビッグネームはあらかた改名されてしまってかつての名前が復活したが、文人を中心にまだまだロシア人の名前がついた場所も多い。これもベルリンの個性と言えそうだ。
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