ご挨拶

乗り物好きを自任していましたが、このところ徒歩での旅行がマイブームです。

2013年9月29日日曜日

66湖巡り(3)苦行の道(マルクヴァルト - ヴスターマルク)

 夏も盛りの7月20日(土)、24℃、晴れ。前回の道に繋げるために午後マルクヴァルトへと向かった。街の郊外、そしてローカル線となると週末はぐっと運転本数が減り、バスに至っては週末はすべて運休というところも多い。幸いにしてマルクヴァルトへは2時間に一本はローカル線が出ている。しかしポツダムに着いたのは、その2時間が始まったばかりの時刻だった。運良く30分後にバスが出る。30分走るとマルクヴァルト城前の停留場に到着。

 14時50分にマルクヴァルト城前(レストラン前)を出発。一路、北へ向かう。まずはアスファルト舗装された道路。見通しがよく自動車の通行量は少ない。かなり立派な並木があり所々に「66湖巡り」の道しるべも見える。日陰になっていないのが辛い。



 大通りを後にしてコースはベルリンを大きく取り囲む大環状線の線路に沿って北へと続く。線路際の廃屋は、かつて駅だった場所。駅舎だろうか。いつ廃止されたのかはわからないが、東西統一後だろうか。住民が皆自動車を持てるようになると、ローカル線の駅はほとんど使われなくなってしまう。

線路際の廃屋。かつての駅舎?
  この線路際の道がかなり長く続く、高くはないが木が日陰を作っているところもあり、ありがたいが、風景は単調。所々、太陽光発電施設やバイオ燃料用のトウモロコシと思われる畑をみる。「電気畑」や「バイオ燃料畑」?

ドイツ、ブランデンブルク州の電気畑

66湖巡りの道しるべ、新しい。

 今回、なるべく地図に頼らず、66湖巡りの道しるべを頼りに歩いてみた。すると畑の中、その一部とも思われるところに出てしまった。あぜ道のようでもあるが、一面草で覆われていて歩きにくい。不安が募る。


 この道でさえ、かなり歩きにくいが、道はさらにひどくなる。獣道のようなところを通り、原生林へと続く。果たしてここが本当にコースなのか。しかしここまで来てしまっては仕方がない、ジャングルに突入!


 ジャングルの中はわずかに人の通った気配がするが、じめじめとしたひどい道。蚊が襲ってくる。襟のボタンを全部とめて、蚊を払いながらの行軍が5分ほど続く。蚊の攻撃が凄まじい。既に何箇所かでヒット。


 ようやく明るくなってきたと思ったら、その先が高くなっており、それを登ると堤防。道は間違っていなかったようだが、これはひど過ぎる。密林をようやく出たところで後ろを振り返ると、66湖巡りの道しるべが見える。しかしこれ、堤防の上からでは見逃してしまう。時計回りに歩いているので何とかなったが、逆回りではこのコースは無理だったかもしれない。


 後で地図を確認するとこのジャングル抜けのコースは最近設定されたことがわかった。66湖巡りの地図にはここではなくもっと遠回りだが、普通の道がコースとして設定されていた。そちらが今も本道で、こちらは別の選択肢だったのかも。

 ようやく抜けたところは、それまでとは全く違って歩きやすい堤防上の道。隣を流れるのはハーフェル運河。ドイツ分裂時代に作られたようだ。西ベルリンを通らずに貨物船を通すためのもののようだが、現在はほとんど船は通らない。レジャーにはいいが、維持のための財政的な負担は重いだろう。


 10数分歩くと小集落Karpzow(カルプツォー)。ここで橋を渡って対岸の道を北へ進む。



 道はある、しかし人や車はほとんど通らない。夏の暑い盛りで草が伸び放題。気をつけないと足を取られるほど。膝を大きくあげての行進が続き、体力を消耗する。


 道のど真ん中に生えて今や花を咲かせようとしているのは、アザミだろうか。この草が生長する間、自動車はずっと通っていないようだ。



 さて体力も持ってきた水も消耗し尽くしたところでようやくWustermark(ヴスターマルク)の街に近づく。普段はアスファルトの舗装道路は堅くて長く歩くのには辛いのだが、草ぼうぼうの悪路を歩いてきた後は却ってありがたい。

 ここまで来れば一休みできる、と思ったが甘かった。この季節、こんな田舎町では飲食業もバカンス。街に数件しかない喫茶店も休暇中。喉が渇く。

喫茶店はUrlaub!(バカンス中)


 仕方なく駅へ。運がよければ自販機で飲み物くらいは調達できるかもしれない、と思ったが、運は悪い方へと傾いた。この駅には自動販売機はなし、次の列車まで一時間待ち。
 いや、運が悪いのではなく、これがこの地方の普通。自分の運を嘆く必要はないのかもしれない。それにしても今回の道のり、苦行のような行程だった。

 密林で蚊に刺された箇所は、数日間腫れとかゆみが残った。地図で見るとあの場所は湿地帯になっている。どおりでかが多かったわけだ。しかも強力。